本当のパーキンソン病の話をしよう - 4
このシリーズを[ 3 ]まで書いたところで筆が止まってしまいました
パーキンソン病の本当の姿が観えてくればくるほど、簡単な文章で表現することは難しいと感じています。
しかし、兎に角最後まで行き着くことにしましょう
本当のパーキンソン病の話をしよう[ 1 ]で述べた患者さんの言葉を思い出してみましょう
すくみ足は薬害なのでしょうか
「Gait disturbances in Parkinson disease. Did freezing of gait exist before levodopa? 」
Historical review:Journal of the Neurological Sciences 307 (2011) 15–17
上記の論文によれば、ドーパ製剤が登場する以前には、典型的なパーキンソン病の症状記載において「すくみ足」という言葉はほとんど用いられていないようです。
そして、二つの論文において(Barbeau A. Long-term side-effects of levodopa. Lancet 1971;395, Ambani LM, Van Woert MH. Start hesitation–a side effect of long-term levodopa therapy. N Engl J Med 1973;288:1113–5.)、
まさに患者さんが言われた通りの発表が行われているのです
この患者さんはすくみ足について「アクセルとブレーキのペダルが同時に踏み込まれた感触」と述べられています。
この印象を動物実験の結果と照らし合わせて理解することを試みたいと思います
主導筋と拮抗筋が均等に障害されているわけでもありません。
更に突き詰めると、一つの筋が均等に障害されているわけでもありません。
即ち、一つの筋においても、正常と障害のモザイクであると想像されます。
そう考えますと、障害されている部位は、ドーパ刺激により作動しますが、正常な部位では無動が生じます(本当のパーキンソン病の話をしよう[ 2 ])。
一つの筋においても、アクセルとブレーキの両方が踏まれた感触が生じることはあり得る話です。
また、主導筋と拮抗筋においても、右足と左足においてもおなじようなことが生じる可能性があります。
無動の強い筋に対して必要な量のドーパ刺激は、正常な筋には悪く働きます
しかし、ドーパ刺激薬剤を減量するだけで、すくみ足が消失するケースは少なくはありません。減少させると無動が生じて困るというのが一般的なパターンでしょう。
このような場合の解決策は私なりに用意していますが、このシリーズでは述べません。
今回はこれで終了し、次回はもう一人の患者さんについて考えてみたいと思います