【続】本当のパーキンソン病の話をしよう-3
―目の話し―
パーキンソン病の方はよく目の症状を訴えられます。
「本を読んでも見づらいので、眼鏡屋に行って、眼鏡を作り替えたのですが、視力はちゃんとしているはずなのにやっぱり見づらいし、目が疲れます。そこで眼科に行ったのですがどこも悪くないと言われました」
或いは、
「時々物が2重に見えるので、神経内科の主治医にパーキンソン病と関係ないのですかと訊きましたが、関係ないと言われました」
或いは、
「まぶしいのでサングラスをかけているのです。これはパーキンソン病とは関係ないですよね?」
これ以外に「めまい」のようなものを訴える方もいます。
そして日本の大多数の神経内科の先生方は、「関係ない」と答えているようです。上記の症状は全てパーキンソン病に関係しています
海外では、古くからパーキンソン病の眼症状については報告があります。
最も多いのはコントラスト感度の低下と輻輳不全です。
コントラスト感度は、少し暗がりでは見にくいと考えても良いでしょう
しかし、何故コントラスト感度が低下するのか、一体コントラスト感度とはどのような視機能を指しているのかと言われれば、答えに窮します。
輻輳不全というのは、近くを見る時に寄り目ができないということです。
その場合、両目でみている世界がずれますので、物が2重に見えるということになります。
しかし、片方の目からの情報をシャットダウンしていれば、世界は一つです。
これは先天性外斜視のケースです。
パーキンソン病で物が2重に見えたり、一つに見えたりするのは、近くで物を見る時は、両目で見たり、片目で見たりしているということになります。
海外では、弱視の方にドパミンを投与すると弱視が改善するという報告があります
これはコントラスト感度を上げているのかもしれません
網膜のアマクリン細胞という細胞はドパミン含有細胞と言われています。
古い論文ですが、パーキンソン病では網膜のドパミンが減少しているという報告もあります。眼に神経毒を注入すると動物でパーキンソン病になるという報告もあります。
日本ではパーキンソン病の眼の症状に注目されることは少ないですが、海外では大変注目されています
パーキンソン病は眼の情報処理に関係しているが、どのような情報処理に問題があるのかは未だ私にとっても推定の域を出ません