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有機医療の実践 2013年食事療法-2 ―ガンから神経疾患―

南カルフォルニア大学 VD Longoらは抗がん剤(Etoposide)を高用量(致死率50%)で使用し、餌を自由摂取 vs 投薬前48h以上絶食で比較したところ、絶食群で 生存率が劇的に改善 したという動物実験を報告しています[ひらめき]


簡単に言えば「正常細胞は遺伝子発現が“保護モード”に切り替わり抗癌剤耐性に ⇒副作用↓、癌細胞は“保護モード”に切り替わらない⇒ 抗癌剤の効き方 同等か向上」ということになります。


ヒトにおいては絶食で抗がん剤の副作用が少ないという報告があり、「PLoS One. 2012;7(5):e36197」においてはケトン食が脳腫瘍の放射線の効果を上昇させるという報告も見られます(脳腫瘍には一番効果的ではないかという推察もあります)。
現在米国では肺がんにおいて同様の臨床試験が登録され、進行中です。
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「Nutrition. 2012 Oct;28(10):1028-35」においては進行がんにおいて、ケトン食が病状の進行を抑制したと報告されていますが未だ少数例の検討でしかありません[あせあせ(飛び散る汗)]

マウスと違いヒトでは長期絶食を癌患者さんに強いることは倫理的に困難であり、ケトン食を用いる場合が多くなっています。
癌においてケトン食が何故効果を示すのかについては、明確ではありませんが、癌細胞のミトコンドリア異常を介していると説明される方が多くあります。
ブドウ糖を利用したイメージング(PET)で癌を調べることが癌検診に用いられていることからも、癌がブドウ糖を利用していることが分かります[手(パー)]

神経疾患のケトン食の有効性については、てんかんを初めとして、アルツハイマー病、パーキンソン病で患者での有効性が示されており、筋萎縮性側索硬化症では動物実験でその有用性が示されています。
最近は、神経疾患におけるケトン食のレビューも出ています。[手(パー)]

一口にケトン食と言っても様々な報告があります。
糖質制限を行っている報告、高脂肪食の代わりに中鎖脂肪酸を用いている報告、糖質制限はないがカロリーを制限している報告、などですが、一括してケトン食として報告されています。
どの食事でも同じような効果が報告されています。
しかし、どうやら、カロリー制限とケトン体を誘導する二つの条件は最低限必要なようです。

しかし、高脂肪食を長く続けるのも辛いし、中鎖脂肪酸に置き換えたとしても一日20gを摂取するのは相当苦労します(アルツハイマー病で有効)。
パーキンソン病は高脂肪食で有効とされていますが、筋萎縮性側索硬化症ではケトン食でも、中鎖脂肪酸トリグリセリド療法でも有用性が示されています。

抗がん剤や放射線療法の時に一時的に、ケトン食をするのは可能ですが、神経変性疾患では長期継続することは困難な気がします[眼鏡]


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