中鎖脂肪酸(MCT)のみ20g摂取することと単なる糖質制限食はどのような関係になるのでしょうか#59131;

MCTは長鎖脂肪酸と違い門脈から直接肝臓に入ります。
そこでミトコンドリアにより燃焼されます。
MCTが少量で効果がないのは、過剰に摂取することで肝臓から溢れて、他の組織(心臓や脳など)に到達するからかもしれません。

また、過剰に摂取することでケトン体を肝で産生できるからかもしれません。

では単純な糖質制限では、癌、動脈硬化、アルツハイマー病
/パーキンソン病などには効果がないのでしょうか#59142;


私の経験では、糖質制限食の中身によるのではないかという気がします#59034;
私自身も糖質制限食を試みましたが、野菜が中心でしたので、摂取カロリーもすくなかった為か、2日目には随分体がだるくケトン体産生によるアシドーシスになったようでした#59029;
今まで2回行いましたが、2回目も2日目に同じような症状が出現しました。


このような経験から考えると、「ケトン食」とか「糖質制限食」などと名前をつけなくても良いのかもしれません#59034;


では何故、絶食を初めとするこのような食事が様々な疾患に効果を示すのでしょうか#59139;


そのメカニズムは#59139;#59139;


多分、そのメカニズムはこれだというようなものは分からないのだと思います。
神経系での詳細は、下記の総説を参照下さい。

The ketogenic diet as a treatment paradigm for diverse neurological disorders (Frontiers in Pharmacology 2012:3:1-8, The ketogenic diet;fatty acid-activated receptors and neurological disorders(Prostaglandins,Leukotrienes and essential Fatty Acids 2004:70:253-264)

最近発表された面白い論文をひとつ紹介します#59027;
Science, 339, 211-214 (2013)

βヒドロキシ酪酸の蓄積する飢餓状態あるいはカロリーを制限したマウスの組織においてヒストンのアセチル化のレベルは上昇し、酸化ストレス耐性遺伝子(Foxo3a遺伝子やMt2遺伝子の発現)の上昇も含まれていました。
以上の現象と一致して,マウスに
βヒドロキシ酪酸を投与すると酸化ストレスに対し耐性を示すようになることが明らかになった。

 

絶食やカロリー制限によって出現するヒドロキシ酪酸は、様々な遺伝子の発現を変化させるというのは絶食の科学のスタートかもしれません。

 
「養生七不可」に「事なき時は薬を服すべからず」とあり、杉田玄白の言うように「医事は自然に如かず」というところでしょうか#59131; 食事については未だ述べなくてはならないことが多くありますが、とりあえずここで一旦終了します#59034;